「1キログラム」の正体

「1キログラム」ってなんでしょう。
そう聞かれたら大体の人は「水1リットルの重さ」と回答するのではないでしょうか。
でも、水の重さって気圧と温度に影響されてほんの少し変わってしまうので、これだと厳密に定義できないんですよね。

そこで1799年に「キログラム原器」というものが作られました。これは白金などの合金で作られた分銅です。
「これが1キログラムです」と定めるための分銅を作ってしまったんですね。無理やり感がありますが、合理的な解決策ではあります。
そしてこのキログラム原器は国際的に認められ、その複製は世界中に配布されました。日本にも1890年に配布されています。

ただ、キログラム原器での定義も問題がありました。
キログラム原器は実際にある物体のため、ほんの少しずつ重さが変化してしまうのです。
それに加えて、もしこのキログラム原器を紛失したり破損してしまったら、キログラムの基準がわからなくなってしまいます。
これでは困るので、なんとかして人工物に依存しないように定義を変えるためにいろいろ検討がされてきたのですが、長い期間解決していませんでした。

そして時は流れ2019年5月20日、ついにキログラムの定義が改定されました。
思っていたより最近だったのではないでしょうか?
たった7年前まではキログラム原器なんて原始的なものが基準だったなんて、驚きですよね。

キログラム原器による基準は廃止され、新しい定義が設けられました。
以下が現在の「キログラム」の定義です。

『キログラム(記号は kg)は質量の SI 単位であり、プランク定数 h を単位 J·s(kg·m^2·s^-1 に等しい)で表したとき、その数値を6.62607015×10^-34と定めることによって定義される。ここで、メートルおよび秒は、それぞれ真空中の光の速さ c およびセシウムの超微細構造遷移周波数 Δν_Cs によって定義される。』(国際単位系(SI)第9版(2019)より引用)

理解できましたか? もちろん私はできません。
キログラムという身近な単位なのに、ものすごく複雑な定義をされていることだけはよくわかりました。

じゃあ定義したのはいいけど、これでどうやって重さを測定するの?って話になりますが、それは「ワット天秤」で調べてみてください。
ワット天秤の説明は難しすぎて私の手には余るので、このコラムではここまでにしておきます……。

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